コートのポケットにつっこんであった携帯電話が鳴った。
通話ボタンを押すと、「どのへんで、デート中?」と酔っぱらったナナの声がした
僕は、アパートにいると答えた。
「かえってきたの?」
「灯油がないんだ・・・」
「え? なに? 何がないですって?」
灯油がないんだ・・・。一人でいるには寒すぎるんだ。もう一人は嫌なんだ。
「会いたいときは、会いたいっていえばいいのかな・・・」
僕の問いにナナは何も答えない。ナナの後ろで、聞き覚えのあるクリスマスソングが流れている。
「今日は、ナナといたいんだ」
僕は、冷たい部屋を出て、細い煉瓦通りの先にある、あのバーに向かって歩き出した。

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