真夜中の0時をすぎ、公園をかざっていたクリスマスイルミネーションが一旦消えた。
「とうとうイブね」
僕は、彼女のために小さな石のついたプラチナのピアスを買っていた。
短くなった髪の毛からみえる形の良い耳に、ぽつんと乗る石を思うと、嬉しさについにやけてしまう。
「今夜、友達とパーティーなの。来てくれるでしょ。たくさん集まるのよ。楽しいイブにしましょう」
「え?」
リースをもらってねと言った時と同じ笑顔で誘う彼女に、僕は、ピアスのことを言い出せなくなった。
「今夜は・・・仕事なんだ」
「遅くまで?」
「たぶん・・・年末は忙しいんだ」
「そう。じゃ、今度、いつ会える。大晦日もパーティーがあるのよ、それもダメ? 」
「・・・・・たぶん」
「親切な本屋さんの話をみんなにしちゃったのに」

僕は、彼女を、彼女の家の前まで送り、一人で歩き出した。
白い雪がはらはらと落ち始め、コートにとまっては、悲しく解けていく。
僕にとって彼女は唯一の人で、彼女にとれば僕など親切な本屋でしかないことを、
僕はどうして忘れてしまっていたんだ・・。

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