目覚めたのは何時頃だっただろう。他のお客はみんな帰ってしまい、マスターが一人でグラスをかたづけている。
「目が覚めたかい」
「ああ・・・すみません」
「もう一人は、そこだよ」
店の隅のソファでナナが眠っていた。くぅくぅと規則正しい寝息をたてている。
どうしたものかと、彼女の寝顔をのぞき込んでいると、マスターが、もう少しだけ寝かせといてやりなよと声をかけた。
マスターが、「こんな曲はどう?」と、低くクリスマスソングをかけ、
「クリスマス、彼女には何をプレゼントするの」
と聞いた。
僕はナナをみて、「あの子は・・・・違うんです」と答えた。
僕が脱いだジャケットの上に、今日ナナが強引に巻き付けたマフラーがきちんと畳んで置いてあった。
巻き付けられた時には気付かなかったが、その糸は、去年のセーターと同じで、同じ模様が編み込まれていた。
「北欧の漁師の奥さんはね、自分だけの模様を作ってそれをセーターに編み込むのよ。
荒海に出ていくご主人にそれを着せるの。何があっても、自分の所に戻ってきてくれると信じてね・・・・」

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