車に戻った僕は、大きく深呼吸してから水色の箱を開けた。
開けた途端、体中の力が抜けた。
木の蔓でつくった不格好な輪っかに、リボンや木の実がバランス悪く巻き付けられ、
気恥ずかしくなるほど子供っぽいガラスの天使が二人飛んでいた。
彼女のことを思うとき、あんなに緊張し、いろいろなことを考えてしまっていたのに、
こんなリースだなんて・・・僕の緊張など無用のものだったように思える幼いリースに、
僕は、つい声をたてて笑ってしまった。
笑いながら、とても幸福な気分になっていた。
リースには赤いカードが添えられている。それも彼女の手作りらしく、
銀色のインクでクリスマスのメッセージが書かれている。
<X'masの夜 あなたの元に幸せが運ばれますように。エリコ>
「不器用なのよ」と笑った彼女の顔が浮かんだ。
「寂しいのは嫌い」とも言っていた。無邪気な言葉と幼いリースが重なり、愛おしさで胸がいっぱいになった。
その夜、アパートに戻ると、僕は、水色の箱を本棚の一番上に置いた。
僕は、人と上手く話をすることができない。誰かと関わり、傷つくことにも臆病だ。
だから、この先、彼女との未来が広がるわけではない。
でも、こうやって、彼女が僕のことを忘れずリースを届けてくれたことが嬉しく、もうそれだけでいいと思った。
この箱を大切な思い出に、僕は今まで通り生きるのだ。

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