| 「クリスマスには…」 プロローグ
いったいどのくらい歩いただろう・・・・
肩先に積もった雪を払いながら、僕はアパートの鉄階段をのぼった。
冷え切った真鍮色の鍵をだし、鍵穴に差し込む。コトッと音がして錠が開く。
僕はいったい何度この動作を繰り返し、この部屋に入っただろう。
冷たい部屋で、僕はまずストーブに灯をいれる。
古いラジオのダイアルをまわし、さざ波のような音の向こうから聞こえてくる声を探す。
「クリスマスイブ・・あなたは、一番大事な人と一緒に過ごしていますか?」
FM局のナビゲーターが甘い声で語りかけた。
僕は、ストーブの上に白い琺瑯ポットを置きながら、本棚の上の水色の箱を見た・・
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